化学系研究職の派遣をしていたk-oです。タイトルの通り、化学系の派遣はやめた方がいいよ、という話を実体験を元にしたいと思います。(特に新卒に向けて)
ITでいうとSESにあたるものですね。SESについてはかなり情報がありますが、化学系に関してはそんなに情報がないと思うので、参考になれば幸いです。
自分の経験をざっくり説明
大学院卒業後、とある派遣会社に入社しました。形態としては「常用型派遣」というもので、派遣会社に正社員として入社し、企業に派遣されるという形式でした。
私が入社した会社はITや機械系の案件を多く取り扱っていましたが、化学系の案件もありました。入社してすぐに私はあるメーカーに派遣され、そこに常駐して2年半化学系の研究業務に携わっていました。派遣社員の人数は10人くらいでした。
仕事の流れとしては、派遣先企業の正社員が実験内容・手順などを考え、私たちがそれを指示通りに行うという感じでした。つまり、要求されるのは手を動かすことだけです。頭を使わなくてもいい、誰でもできるような仕事を派遣社員が引き受けるわけですね。
そんな環境で感じた、化学系派遣はやめた方がいい理由を大きく2つに分けて説明します。
理由1 技術者として成長しない
オススメしない理由の1つ目は、「技術者として成長しない」です。成長できない理由としては、
- 誰でもできる仕事内容
- 「最新の技術が学べる」という嘘
- 自社で研修ができない(会社による)
の3つがあります。
誰でもできる仕事内容
私の経験のところでも書きましたが、派遣社員が任されるのは、誰でもできる、簡単な仕事です。私の職場では、知識ゼロの文系の新卒が派遣され、一緒に仕事をしていました。もはや理系である必要もないわけです。当然、技術者としての成長などありません。
「最新の技術が学べる」という嘘
派遣会社の求人票などを見ると、
「大手企業で最新の技術を学べます!」
みたいなのをよく見かけると思います。ほぼ嘘です。
派遣社員は所詮部外者なので、重要な情報は教えてもらえません。また、設備の使用を制限されたり、論文を調べる権利もありませんでした。当然ネット上や本にこういった貴重な情報があるわけないので、自分で勉強することもできない。とてもスキルアップできるような環境ではなかったですね。
自社で研修ができない(会社による)
3つ目の理由ですが、これは特に私がいたような、いろんな分野で派遣を行っている派遣会社に当てはまると思います。
化学系専門で派遣を行っているような会社は、自社で実験設備を所有しているところもあり、研修でスキルアップ、ということができると思います。(出来るんですよね・・・?)
それに対し、私がいたような会社は実験設備を持っていないので、自社で社員を育てることができません。そのため、さっさと現場に派遣して、「現場で一から学べ」ということになります。
しかし、派遣先企業には、派遣社員を育てようという意識はほぼありません。派遣先からすれば、実験ができるだけの最低限の知識があればそれでいいわけです。
こうなると、派遣先に都合のいい実験マシンとなるしかありません。当然技術者として成長しません。
理由2 (化学業界で)正社員になるのが難しい
化学系派遣をオススメしない理由2つ目は「(化学業界で)正社員になるのが難しい」です。理由としては、
- 正社員と派遣社員の仕事が違いすぎる
- 業界的に難しい
この2つがあります。
正社員と派遣社員の仕事が違いすぎる
こういった派遣の仕事をしている人の中には、
『将来的に派遣先の会社の正社員になる』
といった考えを持つ人もいると思います。実際、私も何回かそういった話を聞きました。ITや機械の分野で。
では化学系の派遣はどうか。私の考えでは、99%あり得ないです。
こう思う理由が、正社員と派遣の仕事が違いすぎるから。
それぞれの仕事内容ですが、
正社員
- 実験計画の立案
- 論文調査
- 研究成果発表・議論
- 他社・他大学との共同研究 など
派遣
- 正社員の指示通りに実験
見ての通り、全然違います。派遣先の企業からしたら、派遣社員をわざわざ自社の正社員として雇うメリットがない。
よっぽど優秀なら別ですが、派遣先の正社員になれる可能性はないでしょう。
業界的に難しい
派遣先に正社員で入れないなら、他の会社ならいけるのでは・・・と思う方もいると思います。
私が就活生だった頃、とある化学メーカーで聞いた話ですが、
化学業界の特徴として、
- 大きく人材が不足している、という訳ではない
- 入社して定年まで同じ会社で働く人が多い(転職が少ない)
が挙げられます。つまり、人材の流動性が低い。
最近は『他社からの新しい風を取り入れたい』といったような考えの企業が増えているようです。それでも、転職活動の時に感じたのは、化学系の正社員の募集は少ないということ。(転職活動をしている私の友人も「求人少ない・・・」と嘆いていました。)
また、雇う側の立場で考えてみると、簡単な実験しかできなさそうな派遣社員より、様々なノウハウを持っていそうな、メーカーなどの正社員を取りたいと考えるでしょう。常用型派遣であろうと、派遣という肩書きがつくだけで、転職の難易度が格段に上がってしまいます。
求人が少ない上に選考を突破することも難しい。こうなると、化学業界にいる限り、派遣から抜け出すのは難しいでしょう。
化学系研究職を目指す人たちへ
私が就活生だった頃、ある派遣会社の面接で
「化学系の派遣は実験補助的な業務が多く、技術者としての天井が見えやすいのでオススメしないよ」
と言われました。それを聞いて派遣会社には入りたくないと思いましたが、
- 周りが就活解禁とほぼ同時に内定を貰い、自分だけ取り残され焦っていた
- 6年間化学系の学科にいたので、自分には化学しかないと思っていた
ということもあり、化学系の派遣を選択してしまいました。今ではこの選択をとても後悔しています。
私のようにならないために、化学系研究職を目指す人たちに考えて欲しいことがあります。それは、
本気で化学業界で生きていこうと思っているか
ということ。
もし思っているなら、就活が上手くいかなくても、正社員にこだわり続けて欲しいと思います。どんな会社でもいいので、正社員を目指してください。新卒で派遣になってしまうと、抜け出すのはかなり難しい。あなたがやりたいと思っている仕事は、何一つできない可能性が高いです。
逆に、そこまで化学業界にこだわらないなら、違う分野に踏み出すことも考えてみて欲しいと思います。私は2年半派遣の仕事をした後、幸いにも別の業界に移ることができ、派遣を抜け出せました。この時に感じたことは、
もっと早く行動していればよかった
ということです。若ければ若いほど、他の業界へ入るのは簡単です。私は院卒ということもあり、派遣として過ごした2年半は、マイナス要素として転職に影響した感じがします。あとで苦労しないためにも、勇気を持ってチャレンジしてみて欲しいです。
まとめ
化学系の派遣をオススメしない理由は2つ
- 技術者として成長しない
- 正社員になるのが難しい
後悔しないためにも、化学業界に居続けたいのかをもう一度考え直しましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
就活頑張ってください!以上!
コメント