『MBA心理戦術101 なぜ「できる人」の言うことを聞いてしまうのか』の感想です。心理学って習得するのは簡単じゃないと思いますが、ただ知るだけでも面白いですね。
内容紹介と、本書で紹介されているバイアスに触れながら感想を書こうと思います。
内容紹介
本書では、主にビジネスマンに向けて101のバイアスが紹介されています。
バイアスとは思考の偏り・歪みのことで、論理的な思考ができる人であろうと、誰もが完全には逃れられないものだ、と本書では述べています。
このバイアスを知るメリットとして、次の3つが挙げられています。
- 他者を動かす武器として使う
- 自分の意思決定の質をあげる
- バイアスを悪用しようとする他者から自身を守れる
他人を陥れるためではなく、正しく使えるものは正しく使い、悪用されやすいものはそれを防ぐことが最大目的だ、と述べられています。
それぞれのバイアスは10章にわたって紹介されています。バイアスの特性によって、
- 認知や意思決定に影響を与える心理バイアス
- 統計/データを用いた意思決定に影響する心理バイアス
- 変化やリスクについての判断に影響する心理バイアス
- 交渉/セールス/プレゼンテーションに影響する心理バイアス
- 因果関係を見誤らせる心理バイアス
- 「錯覚」を生み出す心理バイアス
- 人の「記憶」に作用する心理バイアス
- 「テクノロジー」に関連する心理バイアス
- ネットの情報発信、情報収集などでありがちなもの
- 日常生活でも発生する心理バイアス
に分類されています。
感想
最初にも書きましたが、知るだけでも面白いなと思いました。それぞれのバイアスが具体的な例を用いて説明されているので、どういう場面で使われたり、陥ったりするのか、ということが理解しやすいです。心理学を全然知らない私でも、非常に読みやすかったです。
ただ、101個もあるので、一つ一つのバイアスの説明はそこまで深くはされてないのかな?とも感じました。心理学をある程度知ってる人からすると、物足りないのかもしれません。
しっかりと習得するには、他の書籍などで勉強して、実践していく必要がありそうです。
ビジネスマン向けのものが多いですが、普段でも役立ちそうなバイアスもあります。目的の3つ目にあるような、悪用する者(セールスとか)から身を守るために知っておきたいこともあるので、ビジネスとか関係なく読めると思います。
また、8章・9章のテクノロジーや情報に関するバイアスは、ITが浸透した社会を生きていくうえで、情報に振り回されないために知っておくべきことだと思います。私自身もブログを続けていくのに、いろんな情報を調べたり、発信していくつもりなので、こういったバイアスはしっかり頭に入れておきたいです。
以下では、本書でピックアップされたバイアスの中で印象に残った3つについて、自分の感想を書きます。
確証バイアス
1章で紹介されているバイアスです。
一度自分なりの結論が出てものの見方が決まってしまうと、自分にとって都合のいい情報ばかりが目に入るようになり、逆に自分にとって都合が悪い情報は目に入らない、あるいは過小評価してしまうというバイアス
と説明されています。
自分はこのバイアスにかなり囚われやすいな、と思いました。例えば、「この人は自分に合わないし、苦手」と自分の中で決めつけると、それからその人の欠点ばかりに目がいってしまう。その人が何か評価されるようなことをしても、その事実を無意識に無視したり、受け入れなくなってしまう。つまり、
一度決めた結論に合うように、情報を捉えてしまう
と言うことですね。今までを振り返ると、結構こういうことが多かった気がします。
結論ありきで情報を捉えず、素直に受け入れて判断を下せるようになりたいですね。
グーグル効果
8章で紹介されているバイアスです。グーグル検索は非常に便利であるが、それに頼りすぎて
「後でグーグルで調べればいいや」と、何かを記憶したり、考えを進めることを放棄してしまう
こういった人が一定比率いる、というのが「グーグル効果」です。代表的なものとして「グーグル」が使われていますが、他の技術についても当てはまるバイアスです。そしてこれにより、人はどんどん劣化していく、と述べられています。
自分も当てはまる部分があるな、と感じました。例えば、大学生の頃に書いたレポート。本来は自分で考えて結論を出すもので、グーグルはあくまで参考として使うものです。しかし、色々と検索していくうちに、いつの間にか自分で考えることをやめていて、答えを求めるだけになってしまう。
便利なものに頼り切るのではなく、「自分で考える」という本質の部分を忘れずに、適度に使うよう心がけたいです。
エコーチェーンバー現象
9章で紹介されているバイアスです。
SNSなどで非常に少数の言説に支持が集まり、それに気づかずに世論と見誤ること
と説明されています。
- 似た考えの人同士で集まりやすく、その集団の意見が多数を占めているように見えてしまう
- 発言力の極めて強い人に引っ張られてしまう
これによって、ネットの中の意見を世論だと勘違いしてしまう、ということのようです。
これ、結構たくさんの人が陥りやすそうな現象じゃないでしょうか?私自身も同じようなことがあります。
私はビジネス系のYouTuberの動画を見たりします。大体の動画のコメント欄は、賛同意見が多数を占めています。それを見ていると、
「みんな賛同してるし、この人の言っていることは正しいんだろうな」
と、深く考えもせずに思い込んでしまったりします。しかし、みんな賛同していると言っても、あくまでそれは一部でしかない。それが頭になくて、
「この考えこそが正しいんだ!」
と思ってしまう。そして、他の意見や考えが受け入れられなくなってしまう。
とても恐ろしい現象ですね。
一部の意見だけで判断せず、様々な情報を得て、視野を広くして判断するように意識したいですね。
まとめ
私のように、心理学を全然知らない人でも読みやすい本です。心理学に詳しい人からしたら物足りないかもしれません。
主にビジネスマン向けですが、ビジネスとか関係なく読める本だと感じました。特にテクノロジーや情報に関する内容は、知っておくべきことだと思います。
心理学はそんなに詳しくないけど、少し勉強してみたいという方にオススメです。
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